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何年か前に、岩手県立美術館を紹介したけども、久々にまた行ってきた。今回は、松本竣介の特別展示が目当てだった。

個人的には松本竣介の絵がとても好きである。「Y市の橋」が好きすぎて、きっとそのせいで横浜に住んでいるのではないかと思うぐらい。家族からは、なんであんな暗い色調の絵が好きなんだといわれてしまうのだけど。線とか、構図とか、表現方法とか、そういったあたりが好きだ。親しみを覚える。

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(Y市の橋で描かれている付近の最近の様子。2012年3月撮影)

この親近感の感じ方は、直感的には自分に似ているからなのではないかと思う。生い立ち(東京生まれで、花巻で育ち、盛岡中学校で学び…)がよく似ている点や、文章等から見て取れる考え方、思想などにも共感を覚えるからだ。

生い立ちは結構重要なのかなと感じている。表現に関して共感できるのは、岩手、特に北上平野の山々に囲まれつつも、とても広い視界と突き抜けるような空の下で暮らすと備わるダイナミックな遠近感覚を持って都会で過ごすと感じる、狭い空間に立ち並ぶ人工物をとらえるときの圧迫感のようなものが、建物シリーズなどに表れているからなのかなと思う。

もう少し分析的に考えてみると、彼が理性の作家だからなのではないかと感じている。抽象画を描く画家の方には、自分の感覚そのものを絵に表現している方々も多いのではないかと思うのですが、松本竣介は、むしろ、絵画の表現を通して、彼が意図した特定の感覚を、絵を鑑賞する人の中に呼び起こそうと努力をしているように思います。それは、代表的な文章「生きてゐる画家」にも述べられています。なので、彼と同じような生い立ち(耳は聞こえるけど)の自分は竣介の絵を見ると、彼が意図した感覚に近いものが呼び起こされるから、強い共感を覚えるのかもしれない。

もともと、常設展に松本竣介のコーナーを持っている岩手県立美術館ではあるけど、今回の特別展は方々からの作品や手紙・写真などの資料なども集まり、作品群毎の解説もなされ、画家・作品双方の背景も知ることができるなかなか有意義なものだと感じた(自分が好きなだけかもしれないけど)。

お勧めしたいのは、図録。よくある図録はムックの様なものが多いけど、この特別展の図録はハードカバーである。装丁が良いので、本棚に置いとくだけでもなかなか様になりそう。956ba144.jpg

盛岡でやっているのは5月27日までで、その後は、神奈川、宮城、島根、東京と回っていくとのことです。神奈川・葉山での展示も見に行ってみようかな。