大野晋「日本語の年輪」についての続き

■「こわい」という語

お赤飯「おこわ」ということにのこっているが、「かたく、つっぱっている」が本来の意味。

恐ろしいものに出会うと、体中の筋肉が硬直することから、室町時代ごろから使われ始める。方言で「疲れた」を「こわい」というのは、筋肉が固くなることから変わっていったもの。

■さち(幸)

幸の語源は、「矢」。矢は、弥生時代に金属のものが朝鮮からわたってきたが、朝鮮語では矢のことを「サル」という。朝鮮語のルの音は、ツの音またはチの音と対応することがある。よって金属の矢のことを日本語ではサツヤと呼んだ。民俗信仰で、矢の霊力のことを「サチ」といった。サチが良ければよい獲物が手に入る。サチという言葉は、そのまま獲物を意味するようになって、獲物があることは幸福なことからサチは幸福を表すようになった。

やっぱりお腹一杯な状態が、一番の幸せという事ですな。